日本のインディペンデント映画を応援しつつ、その多様性を世界に紹介していく「日本映画・ある視点」部門。
全編モノクロ映像で撮られた、『ももいろそらを』の舞台挨拶と上映後にはQ&AがTOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6にて行われました。
まず舞台挨拶に登壇したのは、小林啓一監督、池田 愛さん、小篠恵奈さん、藤原令子さん、高山 翼さん、原田博志プロデューサー、宮﨑紀彦マネイジメントの7名。
©2011 TIFF
グリーンカーペットを歩いてきたばかりのテンションで登壇された皆さん。まずは、小林啓一監督からご挨拶。「このメンバーでこの場に立つことができて本当に嬉しく思います。皆さんに見てもらうということにとても緊張していますが、楽しんでいだきたいと思います。」
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私物のリュックを背負って登壇した池田さんは、「はじめての映画、初めての主演作品になります。一生懸命頑張ったので、楽しんで見ていただけるととても嬉しいです。街中で大声を出したり、なかなか出来ない体験をしました。」とはにかみながら話されていました。
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小篠さんは「初めてのお仕事で凄く緊張して、自分のいたらない点や、足りない部分がすごく分かりました。監督やプロデューサーさんにとてもご迷惑をおかけしましたが、凄く成長することができました。」。
その後、監督について聞かれると少し笑いながら「演技の指導が厳しいけど正しいことを言ってくれる方で、楽しく演技ができる環境を整えてくれました。」と答えていました。
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藤原さんは「グリーンカーペットを歩くところを見ていただけましたか?反省する部分が沢山あるけれど、薫が映画の中で成長するのと同じように、私もこの映画で成長させていただきました。そこを見ていただけると嬉しいです。」とグリーンカーペット直後の高ぶる気持ちを抑えられない様子でした。
また、撮影中の三人の仲について聞かれ、「途中危うい時もありました。相手がどう演じるかで状況が変わり、三人が噛み合わなくて気まずくなってしまったこともありましたが、最後はお互いを分かり合い仲良く演じきることができました。」と答えていました。
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まだ出来上がった作品を観ていないという高山さんは、「この作品が初めての映像作品で、緊張してなかなかうまくいかないこともありましたが、このような大きな場に立つことができてとても嬉しいです。監督には、自然体ということを常に求められていました。今の自分と少しでも重なるところがあればいいかなと思います。」とおっしゃっていました。
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「大きな画面で上映するのは、今日が初めてになります。今回の映画祭を皮切りに、いろんな人に見ていただければと思っております。」と原田プロデューサー。
宮﨑マネイジメントは、「僕らが信じているもの、信じている映画を作りました。ただやはり皆さんに見ていただくまでは、非常に緊張しております。楽しんでいただけるかなと、ドキドキしています。」とおっしゃっていました。
これから作品を見る皆さんに、作品のキーワードを求められ「人間性をクローズアップしている作品なので、そこをじっくり見ていただきたいです。」と小林監督は恥ずかしそうにおっしゃっていました。
現役女子高生三人の天真爛漫なトークは、感じたことを素直に言葉にしていて、劇場内は微笑ましい空気に包まれていました。
上映後:Q&A
■ 登壇者 小林啓一(監督)、原田博志(プロデューサー)
小林啓一監督(以下、監督): 途中まで皆さんと一緒に上映を見ていたのですが、こんなに大きいスクリーンで上映するのは初めてなので、すっかり映画に集中してしまいました。見ていただいて、ありがとうございます。
Q. 印刷会社のおじさんを演じていた、桃月庵白酒師匠を起用した理由を教えてください。
監督:以前に落語のビデオの編集を担当した際に、桃月庵白酒師匠の落語を見て、なんて面白い人なんだろうと思ったことがきっかけです。間のとり方もうまいし、優しい顔つきをしているけれど、悪いこともたくさん言う。その時に考えていたキャラクターに合うと思いました。
原田博志プロデューサー(以下、プロデューサー):本人に直接、出演交渉しました。(笑)
監督:演技をすること自体初めてだったらしいのですが、イメージトレーニングもなさってくれたみたいです。もともと落語はひとりでお芝居をしているようなものなので、役に入りやすい部分はあったのかもしれません。
Q. 女子高校生のリアルな会話が重要な役割を担っていたと思うのですが、演出や脚本の段階で特に工夫されたことはありますか?
監督:まず脚本に関しては、あまり経験がなかったので、書いているとどんどんセリフが増えてしまって、気が付いたらああいう形になってしまいました。ただ、セリフに意味合いを持たせ、ライトかつテンポをよくすることは意識しましたね。また、普通の女子高生の会話を真似すると単純なものまねになってしまうので、オリジナルのリアルさを求めて、この劇のなかでしか成立しない会話を書くように心がけました。
演出の面では、ナチュラルにすることを気にかけました。特にキャラクターに重点を置いていたので、役者にもその点を十分に理解してもらってから演じてもらいました。例えば、主人公は寅さんが好きという設定にして、主人公を演じた池田 愛さんには実際に寅さんの映画を数本見てもらい、べらんめぇ口調に慣れてもらうようにしました。
Q. モノクロで撮ることで苦労したこと、工夫したことはありますか?
プロデューサー:一般のひとがカラーの映像を見慣れているので、モノクロにすると配給会社などに作品を選んでいただくことが難しい。僕は、小説、マンガのようにモノクロのメディアは気付かないところでたくさんあって、映像だけカラーだというのはおかしいのではないかと思っていますし、モノクロだとより想像力をかきたてられるのではないかと思います。今回のような上映は非常にありがたい機会です。