女優の香川京子さんが9月6日、国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF)が映画遺産の保存活動に貢献した人物に贈るFIAF賞の受賞を記念し、有楽町の日本外国特派員協会で会見しました。
同賞は2001年に制定され、これまでマーティン・スコセッシ、マノエル・ド・オリヴェイラ、イングマール・ベルイマンら世界の巨匠たち が受賞。香川さんは日本人初、アジアの女優としても初の受賞となり、「世界的に素晴らしい人たちのお仲間に入れていただけるのは、光栄でありがたいこと。 私はその方たちの足元にも及びませんが、これをきっかけにできる限りお手伝いをさせていただきたい」と喜びを語りました。
香川さんは溝口健二、小津安二郎、黒澤明、成瀬巳喜男ら日本が誇る巨匠たちの作品に多く出演。その際の場面写真や撮影中のスナップ写真や 資料などを10年ほど前から東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈し始め、現在までに300点ほどが集まったそうです。この功績が、フィルムセンター も会員となっているFIAFに認められての受賞となりました。
「たくさん出演した中で、何が一番かといえば溝口監督の『近松物語』」という香川さん。演技指導は一切なく、「できるまで何回もやらされ、手も足 も出なかった。死ぬほどつらい思いをしましたが、芝居の基本を教えてもらったと思います。黒澤監督も似ているところがあって、テーマなどの説明は一切な い。『天国と地獄』の応接間のシーンでも、誰かが何か言ったら反応しなければいけない。そのときにも溝口監督の『反射してください』という言葉を思い浮か べていました。溝口監督が私の中に一番大きなものを残してくれました」と思い出に浸りました。
現在の日本映画界については、「昔との大きな違いは撮影所がなくなったこと。それだけに、誰でも映画を撮れる自由さがあると思います」と 分析。香川さんを目標とする後進に対しては、「日本映画に限らず、多くの優れた作品が残っているので、たくさん見てほしい。それが一番じゃないかな。それ と、いろいろな現場での経験が大事。ムダだと思うこともあるかもしれないけれど、時間がたてば何かの役に立っていると思うはずです」とエールを送りまし た。
左から東京国立近代美術館フィルムセンター 主幹 岡島尚志さん、香川京子さん、東京国際映画祭 都島信成事務局長
第24回東京国際映画祭では、フィルムセンターとの共催で『近松物語』の新訳ニュープリント版をはじめ『東京物語』のデジタルリマスター(小津監 督)、『驟雨』(成瀬監督)、『どん底』(黒澤監督)など香川さんが出演した9作品を特集上映する「香川京子と巨匠たち」を開催。会期中の10月24日 に、FIAF賞の授賞式が行われます。
2011年10月8日(土)チケットぴあ、ローソンチケットにて前売鑑賞券発売
今後も公式サイトでは、最新情報をお知らせします!
第24回東京国際映画祭にどうぞご期待ください!!