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2011.10.28
[イベントレポート]
杉野希妃「理解しあえないことが当たり前の現場で多くのことを学びました」──10/27「女優=プロデューサー杉野希妃~アジア・インディーズのミューズ」特別記者会見




ゲスト
杉野希妃(女優/プロデューサー)
エドモンド・ヨウ(監督)
ヤン・イクチュン(俳優/監督)
 
●動画を見逃した方のためのテキスト版:
杉野希妃:今回、東京国際映画祭でこのような特集を組んでいただき、まず石坂健治プログラミング・ディレクターと映画祭の皆さまに感謝したいです。私にとって東京国際映画祭は本当にご縁の深い映画祭で、製作を始めようと思ったのも5年前に東京国際映画祭で見た作品がきっかけでした。昨年(2010年)も『歓待』という作品で、参加させていただきました。また、このような機会をいただけたことを本当に光栄に思っております。今日はよろしくお願いいたします。
 
ヤン・イクチュン:希妃さんとは最初は俳優として出会いました。私自身も映画人として製作側にまわっておりますけれども、希妃さんの姿を見ているとすごい人だなと思います。
最初の出会いは、演技という形でありましたけれども、彼女のその後に歩んでいる姿を見ておりますと、演技だけでなく、作品を作っていく側にまわっているという、ですから普通の映画人、俳優さんたちよりも映画を愛する気持ちがとても大きい、そんな人だなと思います。
 
エドモンド・ヨウ:(日本語で)ミナサン、コンニチワ。エドモンドデス。
希妃さんとは2年前の10月に釜山(映画祭)で会いまして、11月にもう一度会いまして、12月にはこの映画(『避けられる事』)が出来ていたという、ある意味“できちゃった婚”みたいなことをいたしました(笑)。
 
Q:『マジック&ロス』は色んな言語が飛び交った現場では?
 
ヤン・イクチュン:実は私が『マジック&ロス』という作品に参加したときは、シナリオを事前に受け取れないままに現場に参加しました。現場に入ってからは、演技者として監督から細かい演技指導を受けるわけではありませんし、逆に私が演出する際も注文をするということはありません。この作品は本当に色々な国の人が集まった現場でした。もちろん事前に英語バージョンで簡単なトリートメントはもらっていましたが、私の英語力たるや本当に皆さんの前ではあまり使えないような、簡単な言葉しか知らない程度ですので、監督からの演技にたいする説明は必要でしたし、実際にあったのですが、やはりテキストが無い状態での説明は理解が難しいということはありました。
ただ希妃さんの友達として私は現場に参加しました。見知らぬ土地で、そして本当に色々な国の人たちが集まった現場というのは、自分にとって新しい経験でありました。
(希妃さんに向かって日本語で)『マジック&ロス』の現場で、いいお姉ちゃんでした(笑)。
 
杉野希妃:私が携わった作品の中で現場が一番大変だったのは、『マジック&ロス』なんですけれども、いやー大変でしたね(笑)。
俳優は韓国人、監督はマレーシア人、撮影監督だったりスタッフは香港人、中国からは録音の方に来ていただいて、作家はフランス人という、とんでもない現場でした。
共通言語が無くて、伝達、伝達って感じだったんですよ。思うように伝わらなくて、ストレスを溜めてしまうこともあったんですが、あの現場で学んだのは、理解し合えないってことに対してストレスを溜めるのでは無く、理解し合えないことが当たり前だから、そこからどうやってエネルギーをお互いに相乗させていくかということを私はあの現場で学んで、自分で作って、自分で演技をしながら、逆に映画に私自身がすごく勉強をさせてもらったという作品ですね。
 
Q:イクチュンさんは監督として、今後杉野さんを俳優として、もしくはプロデューサーとして参加してもらうという考えはありますか?
 
ヤン・イクチュン:もちろん希妃さんに合う役柄があるとか、希妃さんにプロデュースしてもらえる領域があれば、もちろんその可能性はあると思います。ただ皆さんも1時間後に何をしているのか、未来のことについてはわからないと思います。私も同様で、今後未来に何が起こるかわかりません。ただ本当に映画を愛する同僚として一緒に映画を作ったり、見たり、そして映画を通じた国際的な友人が出来るということ、このことがまさに未来なのではないかと思っています。次の作品というのはいつかは作られます。そしてきっかけがあれば、皆さんとお仕事することもあるでしょう。そういうことは周りの状況が自然と作っていってくれることだと思っています。

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