東京国際映画祭も最終日。東京 サクラ グランプリほか各賞の発表に先がけて、「観客賞」が発表されました。観客賞は、コンペティション部門に参加する15作品を対象に一般鑑賞者の投票によって決定する賞。作品を手掛けたスタッフ&キャストはもちろん、観客にとっても、サクラ グランプリと並ぶ注目の賞です。
ノミネート作品とプレゼンターの紹介が行なわれた後、プレゼンターの1人でもある武井雅昭港区長により受賞作品が発表。第24回東京国際映画祭・観客賞は、『ガザを飛ぶブタ』に輝きました。
同作は、パレスチナの貧しい漁師が、“不浄な生き物”とされるブタを釣り上げてしまったことから巻き起こる騒動を描いたコメディ。第20回のサクラ グランプリ受賞作『迷子の警察音楽隊』のサッソン・ガーベイさんが演じるブタの始末に悩む男の姿を通して、地域の平和への祈りを訴えかけていく作品です。
舞台には、喜びいっぱいの笑顔で監督・脚本のシルヴァン・エスティバルさんと、女優のミリアム・テカイアが登場。東京国際映画祭みなと委員会、Kissポート財団の協力による賞状とトロフィー、花束、そして賞金1万米ドルが贈呈されました。
観客賞の恒例でもある“はっぴ”を贈られ、さっそく袖を通した監督は、「コンニチハ、アリガトウ」と日本語で挨拶した後、「日本に来たのも、映画を作ったのも、映画祭に出したのも、そして賞をいただいたのも本当に初めてです。これ以上の賞はありません!」と喜びを伝え、ミリアムさんも「日本に来るのが夢でしたが、まさかこのような形で叶うとは思っていなかったです」と満面の笑顔を見せました。
©2011 TIFF
エスティバル監督は、「遠い場所が舞台なのに、皆さんに受け入れてもらえたのが嬉しい。それはきっと、この作品普遍的なテーマを扱っているからだと思います」と感謝の意を述べました。
昨年までは受賞作が発表されるだけだった同賞ですが、今回より、受賞作がそのまま上映される形に。司会者より、「映画に登場するブタは、オーディションで5匹の中から選ばれた」「ジャーナリスト、カメラマン出身の監督が、2008年にブラジルのホテルで原案をふと思いついたそう」というエピソードが明かされて授賞式は幕を閉じ、観客は「ガザを飛ぶブタ」の上映に臨みました。