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2011.10.28
[イベントレポート]
希望と、期待と、感謝の気持ちを込めて――10/24(月)特別上映・震災を越えて『ギリギリの女たち』:舞台挨拶

10/24(月)特別上映・震災を越えて『ギリギリの女たち』のワールド・プレミア上映に先立ち、舞台挨拶が行われました。登壇したのは、小野寺三姉妹を演じた、渡辺真起子さん、中村優子さん、藤真美穂さんの三名。

©2011 TIFF

まずは長女役の渡辺さんが、「月曜日の早い時間においでいただきまして、ありがとうございます。お客さまに見ていただく初めての機会となります。ちょっと緊張して具合が悪いです。では次女に渡したいと思います。」と緊張している中、上手に中村さんへとマイクを引き渡しました。

それを受けて「皆さん、おはようございます。次女役・伸子を演じさせていただきました中村優子です。一般のお客さまに見ていただける最初の瞬間に、こうして三姉妹共に立ち会えたことで、とても胸がいっぱいです。本当にありがとうございます。」と中村さんがご挨拶。

最後に「皆様、おはようございます。三女役をやらせていただきました藤真美穂です。お二人のお姉さま同様、昨日から緊張しています。皆さまが世界で一番最初に小林監督の最新作をご覧になるということは、とても素敵なことだと思います。是非楽しんで帰ってください。」と藤間さん。

舞台は、東日本大震災直後の気仙沼市唐桑町。唐桑町に居宅を持つ小林監督が、復興に願いを込め製作した作品です。

「今年とても大きな事が日本には起こりました。今日もトルコからとても残念なニュースが届きました(10月23日トルコ東部地域で「トルコ地震」が発生)。トルコの皆さまには、心からお悔やみ申し上げます。一人でも多くの方が救済されますことを心より願っております。3.11以降、本当に多くの国々の方々が日本のために動いてくれたことをとても感謝しています。この状況の中で日本に住む私たちは、今何をするべきなのだろうかと、とても戸惑い続けているんじゃないかなと思います。その中で小林監督は、唐桑町にお家があったということで、ずっと暖めていたこの企画を、唐桑町を舞台に撮ろうとしたのではないかと思います。」と渡辺さんがおっしゃっていました。

渡辺真起子さん
©2011 TIFF

 
中村さんは、「私は、ただ誠心誠意でそこに飛び込んで、自分のできることを全うすることしかできないと思ったので、伸子という役をきちんと演じること、映画をきちんと完成させること、そこだけに集中しました。」とこの作品に対する気持ちを語りました。

中村優子さん
©2011 TIFF

 
藤間さんは、「物資を送るだけでは満たされない部分があり、ずっと被災地に伺いたいと思っていました。その思いが届いたのか、こういう台本に出合いました。被災者の役だったので生半可な気持ちではできないと思っていました。今思い出そうとしても苦しかったことばかりで、正直あまり覚えてないんです。リアルな被災映画とは言えないですが、何か伝わるものはあると思います。そう信じてやってきました。」と辛かった撮影中の心境を語りました。

藤真美穂さん
©2011 TIFF

 
渡辺さんは、「この映画の撮影の前に、福島にボランティアに行ってきました。毎日のようにニュース等を見ていたので想像はしていたのですが、その中で日々逞しく生活をしている方々がいるということは、あまり想像していませんでした。実際に被災地で暮らす方から、まだ復興されていない荒野のような港が見えるところに住み、笑いながらお味噌汁を飲んでいるという話を聞いたときに、強く強く明日に向かわなくてはいけないなと思いました。少しの間でも、被災地の皆さんと一緒に暮らしているように過ごせたら、そんな日々の風景が撮れたらいいなと思いました。家族の物語は、世界中どこにでもあるわけで、どんな状況の中にもあるわけで、このような状況の中でも、”明日を見ていかなくてはならない”という姿を描き出すことができればと思いながら頑張りました。被災地では泣いたりしませんでしたよ。」と一生懸命涙をこらえながらお話してくださいました。

唐桑町でのエピソードを聞かれた中村さんは、「地元の方は、大変な環境の中にいらっしゃるのに、本当に暖かくて、私たちに力を貸してくださいました。特に私たち三人は、地元の方のもとに寝泊りをさせていただいたんです。そこのおばあちゃまが、私たち三人を孫娘のように可愛がってくださって、どんなに早くても毎朝お見送りをしてくださって、戸口に立って優しいお声で”いってらっしゃい”と送り出してくださいました。その”いってらっしゃい”を耳に残しながら、まだ朝もやの煙く唐桑町の坂道を、三人でトコトコトコトコと現場まで向かったことが忘れられない記憶として胸に焼き付いています。」とおっしゃっていました。

藤間さんは、「撮影は死ぬほど苦しくて、他に申し上げることが無いくらい”苦しかった”としか言いようがないんです。思い出すと本当に涙が出ちゃうんですけど、お二人がお姉さまだったということだけで本当に幸せだったということは覚えています。いじられ、可愛がられ、とても嬉しい時間でした。それが本当に救いでしたね。撮影のことは覚えてないのですが。」と時折苦笑いしながらおっしゃっていました。

最後に、お一人づつこれから作品をご覧になる方へ、一言づつご挨拶。
 
藤間さん「伝えたいことはたくさんあるのですが、まずは観ていただきたい。3.11を乗り越えて、私たちは復興しつつありますが、被災地はまだ被災地のままです。その状況を垣間見ていただける瞬間もあります。その瞬間が、”ここからまた頑張ろう”という気持ちを、東北に、東日本に伝えていける一瞬になるといいなと思います。」

中村さん「本当に多くの人の暖かさと祈りの詰まった作品だと思います。そんな特別な、大切な作品が、皆さまの五感に届くよう、希望と、期待と、感謝の気持ちを込めてご挨拶とさせていただきたいと思います。」

渡辺さん「本日はどうもありがとうございます。ごゆるりとこの映画とのお時間をお楽しみいただければと思います。」

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