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2011.10.30
[イベントレポート]
見て見ぬふりをせずに、この問題について考えていただきたい――10/29(土)コンペティション『プレイ』Q&Aセッション

10月29日(土)、コンペティション『プレイ』のラインプロデューサー、マリーシェルソンさんをお迎えし、Q&Aセッションが行なわれました。
10/29『プレイ』

©2011 TIFF

 
■  日時・場所
10月29日(土) 19:28~ @TOHOシネマズ六本木ヒルズ、スクリーン7

 
■  登壇者
マリー・シェルソン(ラインプロデューサー)

 
マリー・シェルソン(以下、「MK」): 本作品のラインプロデューサーであり、プロダクションのCEO(最高経営責任者)を務めています。(リューベン・オストルンド)監督とは7年前から一緒に仕事しています。この作品は、彼の3本目の長編映画となります。皆様のご質問に、リューベンに代わって、おそらく彼ならこう言うであろうということを念頭に、お答えさせていただきます。
少し映画がどのように作られたかについてお話しさせていただきます。3年前、ある記事がリューベンの目に止まりました。私たちの出身地でもあるイエテポリでの事件です。それは、ソマリア出身の5人の黒人少年がイエテポリで60回以上窃盗を働き、逮捕されたというものです。この事件を知ってリューベンは困惑したそうです。何故何度も窃盗を働くことができたのか。しかもどれもが日中に、人が多く行き交う場所でのことです。そこでこの事件についての調査を始めました。犯人である少年たちと被害者の両方、そして警察官にも取材しました。この事件のファイルも読ませてもらったそうです。犯人は12-13歳の少年たちだったのですが、黒人に対して社会が持つ、盗みを働きがちであるというイメージを利用したそうです。同い年くらいの白人の男の子に接近し、脅威を与えたのです。
一番重要なことは、この映画の中で問題に対する答えを出してしまいたくない、ということです。色々なニュアンスで問題を提示し、それを見ている方々に対処していただきたいのです。ですから、そういった状況に自分を置き換えて、どのように感じるか、どのような偏見を持っているのか、その状況をどのように捉えるのかについて考えて、また、話しあっていただきたいのです。とても厄介な、悩ましいエンディングになっていますので、是非皆さんこのことについて考えてみてください。
ピエロ、踊る女の子、クラリネット、揺りかごなど、幾つか象徴的な場面がありました。ピエロが出てくるのは、恵まれた家庭でのお誕生日会。つまり窃盗を働いた少年は、7人兄弟で少ない食糧を分け合っているような貧しい家庭の子どもではないということを表しています。公民館のようなところで踊りを踊っている女の子は、スウェーデン人がイメージする南米人、羽根を着けて陽気に踊っている南米人に見立てたそうです。クラリネットは、恵まれた家庭のこどもだけが習うことのできる楽器であり、バスで出会う黒人の少年にはそれが何であるかもわかりません。家庭背景や教育レベルの差を象徴的見せること。一等席の視点、つまり恵まれた生活をしている人であれば弱者が直面している問題を見て見ぬふりをできる、といったことを表現したかったそうです。
10/29『プレイ』

©2011 TIFF

 
MK: 映画館にいる皆さんも一等席にいる方々です。見て見ぬふりをせずに、この問題について考えていただきたいと思います。

 
Q. 狙われる側の少年にアジア人の男の子が一人いました。黒人からすればアジア人は白人と同じターゲットとなる対象なのだと思います。スウェーデンではアジア人あるいは日本人はどのように見られているのでしょうか。

 
MK: スウェーデンは教養のある現代国家です。しかし、こういった偏見の問題については見て見ぬふりをしている傾向にあります。この映画では、実際に存在する問題を提示しました。実際の事件の被害者は白人の男の子だけで、中国人はいませんでした。路面電車に乗ると、二人の白人が中国人の男の子に対して「おまえがやつらと話をしてこいよ」と言います。その時白人と同じでいるつもりであったアジア人の子どもは、やはり同じだと見られていなかったことに気づきます。そういったことを表現したかったのです。しかし、スウェーデンにアジア人に対して偏見があるわけではありません。

 
Q. ロングショットを使った理由は?子役たちは大変だったのでは?

 
MK: リューベンの使った言葉そのままでお答えします。これはこの作品を含むリューベンの長編3作に見られる彼の映画に対する美学でもあるのですが、フレームを制限し、編集が少なくなるということは、役者も最後まで演じ切らなければならないということです。リューベンも自らに制限を課すことで、エネルギーが沸いてくると言っています。子役たちは全員アマチュアで、1シーンを一日か二日かけて撮りました。3日かかったシーンもありました。でも皆本当に頑張って良い仕事をしてくれました。
 
プレイ
 

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