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2011.11.24
[インタビュー]
【TIFF学生応援団がきく!TIFFの楽しみ方 Vol.7(最終回) 】 “作品グループアドバイザー”

TIFF学生応援団が、映画祭とそこで上映される映画の魅力を学生目線で伝えるために映画祭スタッフなどにインタビューする特別企画。
今年で24回目を迎えた東京国際映画祭。学生応援団対談企画の締めくくりに映画祭の第2回から参加されている作品グループアドバイザーの森岡道夫さんに、映画祭の歴史をはじめ、普段のお仕事、今年の映画祭についてお話を伺ってきました。
 
対談:平岩英佑(TIFF学生応援団) × 森岡道夫(作品グループアドバイザー)
学生応援団インタビュー

©2011 TIFF

 

―映画祭で働くきっかけは?
 
森岡道夫作品グループアドバイザー(以下:森岡アドバイザー):私は東宝・企画部育ちのプロデューサーですが、その後はフリーの立場で映画製作を続けてきました。たまたま“日本映画テレビプロデューサー協会”の事務局長をやっていた時に、東京国際映画祭の当時のゼネラル・プロデューサーから話があり、若い映画作家の活動を支援していく“ヤングシネマ”部門の仕事をお引き受けすることになりました。当時は、ヤングシネマ・コンペティションとインターナショナル・コンペティションという2つのコンペティションがあったんです。やってみると、井の中の蛙で、製作現場しか知らなかった私が国際映画祭ということで、海外に視野が広がっていきましたし、世界の若手監督に接することが、非常に面白かったんです。当時の若手の監督の中から映画祭への参加をきっかけに国際的にも有名になられた監督もいるので、やりがいはありましたね。そうして、この映画祭で働くようになって20年以上になりました。
 
―どんな仕事をされているんですか?
 
森岡アドバイザー:今は、アドバイザーという立場で、作品も見ますが作品部全体のとりまとめの仕事をしています。他には審査委員関連の仕事(人選・就任交渉・アテンド)の仕事を行ってます。毎年審査委員を決定するのに苦労するんですよね。日本は遠いので、やる気になってくれてもスケジュールが合わないことが多いんです。作品の選定と審査委員の人選や交渉などを一人でやっていた頃は忙しくしていました。応募された作品を見る一方で、海外にも出向き、情報を収集して参加の呼びかけをし、出品交渉を行うのは昔も今も同じですが、通信手段が郵便と電話とファックスしか無かった時代と異なり、インターネットが導入された現在は仕事の範囲も広がり、そういう意味では今の担当のスタッフは大変ですね。地球上のどこかの国は起きているわけですから、瞬時に連絡を取ろうとするとこちらの寝る時間がなくなってしまいますからね(笑)
学生応援団インタビュー

©2011 TIFF

 
―東京国際映画祭が開催され始めた当初の雰囲気はどんな感じだったのでしょうか?
 
森岡アドバイザー:それは華やかなものでしたね。開催地の渋谷では、初日にパレードが行われ、オープンカーに分乗した作品ゲストのスターたちが、沿道を埋めるファンたちの歓声の中をメイン会場のNHKホールへ向かったのです。第1回目の時はグランプリに選ばれた監督には賞金として、次回作の製作費を与えるというものすごいこともしていましたね(笑)。第2回からは渡し切りの賞金制度になりましたけどね。
 
―東京国際映画祭はそもそもどういった意義ではじめられたのでしょうか?
 
森岡アドバイザー:国の威信をかけて技術・文化の面で競い合う万国博覧会が原点にあったことが分かります。カンヌ映画祭もパリ万博の一環で始まったのです。日本では1970年の大阪万博の時に「第1回日本国際映画祭」を開催し話題にはなりましたが、このときは1回だけで終わってしまいます。そして1985年のつくば万博(正式には筑波国際科学技術博覧会)の時に第1回東京国際映画祭が発足したのです。国際映画祭を行いたいという映画人の想いは以前からあったのでしょうが、莫大なお金も掛かることだし、また官民一体となってやるべき大事業ですよね。この時期に漸く機が熟したということでしょう。
学生応援団インタビュー

©2011 TIFF

 
―映画祭が始まった当初と今との違いはありますか?
 
森岡アドバイザー:技術的なことは大きく変わりましたよね。でも映画を通じて伝えたいこととかは、いつでも同じですね。そこが映画のいいところですよね。
 
―映画祭はこれまで色々な会場で行われていますよね。
 
森岡アドバイザー:第1回から映画祭は東京・渋谷で行ってきました。渋谷は知名度も有り、学校も多く映画館も多かったので。そして先代のチェアマンの時から、今の会場・六本木になりました。昔一度、京都でも映画祭を行いました。これは、京都に都が遷都されて1200年という国家的な行事の一環として行われたんです。京都は映画の発祥の地であり、日本の映画史でも非常に重要な場所なので記念すべき映画祭になりましたね。
 
―これまででご苦労されたことはなんですか?
 
森岡アドバイザー:映画祭は続けることに意味があるんです。継続は力なりといいますが、最初は映画祭をやっている場所を知っている人は少なかった。回を重ねるごとに少しずつ、知ってもらえるようになったのはすごくうれしいのですが、でもまだまだですね。学生さんをはじめ若い方々にももっともっと映画祭を知っていただけるよう頑張ります。
 

―今年は14年ぶりにオープニング作品が2作品ありましたが
 
森岡アドバイザー:特別招待部門の作品は配給会社の協力のもとに成り立っています。今年はオープニング作品に恵まれました。ゲストも非常に豪華でしたよね。14年前にはオープニング作品に『タイタニック』と『エアフォース・ワン』の2本を上映しましたが、両方とも主演スターが来日してくれて大いに盛り上がりました。
 
―秋葉原の街ともコラボしていましたね
 
森岡アドバイザー:そうですね。オタク文化の聖地とも言われていますが、アニメも含めた映像祭を行いましたね。非常に盛り上がって、成果も得られたんじゃないでしょうか。
 
―映画を見ることで大事なことは
学生応援団インタビュー

©2011 TIFF

 
森岡アドバイザー:良い映画を選択して見ることにつきますが、昔の映画は、起承転結がきちんと構築されたドラマらしい映画が多かった。最近では表現の幅が広がり、様々なジャンルの映画が作られていますね。自分の心情を映像に込めるという作風が多くなっています。それらが見る人の心に共感できれば良いわけですが。見る側としては、いろいろな様式の映画を見ることも勉強になりますが、その時々の自分の心情を映画に託してみるのもいいじゃないでしょうか。昔は悲劇のヨーロッパ映画、ハッピーエンドのアメリカと言われていた時代もありましたが。
 
―プロデューサーになる秘訣は
 
森岡アドバイザー:よくプロデューサーと監督は比較されますが、監督が作家として作品にどんどん没入していくのに対し、プロデューサーは企画者であり、事業者でもありますから、全体を見る洞察力や社会情勢を的確に把握することが大事になってくると思います。
 
―若い世代に伝えたいことは
 
森岡アドバイザー:映画の魅力を再発見してほしいですね。昔は映画しか娯楽がなかったし、学生時代は学校の時間割より、映画の上映時間の時間割から埋まっていったぐらい(笑)。数多くの映画を見ること、それと、過去の名作を見てもらいたい。今は映画業界を目指している人ですらあまり映画を見ていない現状がある。昔の映画から学ぶことはものすごく多い。今の若い方も、映画業界を目指すなら昔の映画を見ることをお勧めしますね。この映画祭に関して言えば、映画祭でしか見られない作品がたくさんあるので宝の山に足を踏み入れたと思って、たくさんの映画を見て欲しいですね。
 
 
学生応援団としての最後のインタビューでは、東京国際映画祭の歴史について学ぶ事ができました。
今年で24回目を迎えた東京国際映画祭は、時代にあわせて何度も何度も試行錯誤をし、形を変えて今の形になりました。その26年間継続した力が、映画祭を支え成り立たせているという重みを感じました。
私たち学生応援団は、多くの学生に東京国際映画祭の魅力を発見してもらえるよう活動してきましたが、これからも歴史ある映画祭をより多くの学生に観てもらえるように願いつつ、この記事を終えたいと思います。

学生応援団インタビュー

©2011 TIFF
オープニングイベント グリーンカーペットに登壇した学生応援団のメンバー。お疲れさまでした!

 
 
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