■ 日時・場所
10月26日(水)14:30~ TOHOシネマズスクリーン1
■ 登壇者
コン・グィヒョン(監督/脚本/プロデューサー)、パク・サンヒョクさん、キム・チャンファンさん
10月26日(水)、『U.F.O.』の上映後、、脚本、プロデューサーも務めたコン・グィヒョン監督、パク・ソンヒョクさん、キム・チャンファンさんが登壇し、Q&Aが行われました。
Q. 企業名のクレジットがありませんでした。ご自身達で資金を工面したと考えてよいのでしょうか?
コン・グィヒョン監督(以下監督): そうです。この映画は外からの資本の助けを全く借りずに、私個人で準備をした作品です。制作費も私個人のお金と、知人からの援助を使って撮影をしました。完全なるインデペンデントムービーです。
Q. ちなみに制作費はいくらくらいですか?
監督: 正確ではないですが、円に換算して約200万円くらいです。
Q. 恐らく今年の最効率的制作映画賞ですね(笑)。
監督: ご覧になって分かるように、それほど大きなロケーションも出来ず、特殊効果などにたくさんのお金をかけられなかったというのはあるのですが、それ以上に、参加してくれたスタッフや監督が報酬を受け取らずに、才能を寄付するように参加してくれたので、低予算でも完成させることが出来ました。
Q. 映画では高校生を演じていらっしゃいますが、実際の年齢を聞かせてください。
キム・チャンファン(以下チャンファンさん): 日本の年でいうと、25歳です。
パク・ソンヒョク(以下ソンヒョクさん): 韓国では数え年で言うので、25歳です。日本の数え方では23歳です。
Q. 山のなかのロケが多かったと思います。撮影中苦労したことを教えてください。
チャンファンさん: 撮影は、去年の5月から6月にかけて行われました。朝方はとても寒かったので、僕は寒がりではないのでわりと平気でしたが、寒がりなスタッフは大変そうでした。蚊などの虫も多かったですが、それ以外はとても楽しく撮影できました。
ソンヒョクさん: トイレの場所が遠かったのが大変でした。また個人的に以前運動で痛めたヘルニアの症状があるので、ずっと立っているのが大変でした。
監督: もともと撮影したいと思っていた場所は、もっと深い山奥でした。しかし予算の関係でそれは断念せざるを得ませんでした。実は、あの山は山には見えるのですが、カメラを反対側に向けると、たくさんの人が通っている公園があるような場所です。俳優陣は大げさに言っている気がします。トイレも100mくらいしか離れていませんよ(笑)。
そのため山奥に見せるように角度に気をつけたり、公園を避けたりして撮影しました。実際行ってみると小高い丘のような場所です。
Q. U.F.O.や宇宙人に捕まるという話と、人を殺してしまうというのは、かけ離れたテーマだったと思うのですが、その二つを合わせるという発想はどこから思いつかれたのですか?
監督: 映画の冒頭に出てくる、ウィトゲンシュタインの「語れないことに対しては沈黙をするしかない」という言葉が、今回の映画のきっかけとなりました。この世には、存在しているかもしれないけれど、それを証明することが難しいものってあると思うんです。それは神や宇宙人など、証明はできないけれど信じている人にとっては明らかに存在するものであり、信じていない人にとっては明らかに存在していないものです。人はこれらに関して考え過ぎてしまうと、他人にも強要したくなりますよね。他人に強要するだけでなく、暴力的な行為に及んでしまうこともあると思います。そのように、神やU.F.O.などを、あまりにも深く信じすぎると悲劇的な結末を迎えることになるのではないか、という発想から今回の映画にたどり着きました。
Q. 青春映画だと思って選んだのですが、かなり怖い映画で驚きました。映画の最後の方で、主人公の兄が財布に何かを入れているようでしたが、あれは何をしていたのですか?
監督: 驚かせてすみません(笑)。あのシーンというのは、兄が弟の財布のなかに、犯罪の証拠となるビデオカメラのメモリーカードを入れていたんです。兄としては弟に対して、あの状況の中でしてあげられる最大限の行為だったと思います。兄は弟の犯罪を知ってしまい、でもそれを告発することはできないので、カードを弟の財布の中に入れることで弟がそれを見たときに、カードを捨てるのか警察に持って行って自首するのか、自分で選択しなさいとの意味をこめたという設定で撮影しました。